朝の起こし方(寮生活編)

寮生活を始めると、多くの不登校経験生徒の生活リズムが整い、朝ちゃんと起きられるようになっていきます。実は、学校としては特別な指導はしていません。

そこで、「あなたは、なぜ起きられるようになりましたか?」という質問を生徒にしてみました。

「環境が変わったから」(高校1年生男子)

中学の時は、毎朝のように「起きなさい!学校に行きなさい!」と言われ続けました。「起きろ」と言われると、なぜか起きたくなくなります。とにかくそのやりとりがめんどくさかったので、だんだんと朝がイヤになっていきました。ある時、徹夜をすれば起きられると思ってゲームをしながら起きていましたが、結局朝の4時くらいに寝落ちしてしまい、親が起こしに来ても気づかないくらいぐっすりと眠っていました。そこからは完全に昼夜逆転してしまいました。

寮に入ってからは、なぜか起きられるようになりました。多分、環境が変わったことで自分から起きなければという使命感みたいなものが出てくるのだと思います。家とは違って最初のころは緊張感みたいなものがあって、同じ部屋の先輩や同級生から「起きろよ〜」と言われると、バチっと目が覚めます。

寮生活をはじめてそろそろ1年になりますが、今では自分で起きられるようになっています。帰省で家に帰った時は昼まで寝ていることもありますが、昔と違って起きようと思えばいつでも起きられます。

 

「学校に行く意味ができた」(高校1年生男子)

家にいた時はだらだらと生活し、ほとんどの時間をオンラインゲームをして過ごしていました。10時くらいに目が覚めて「あああああ、今日も休んでしまったあああ」と心の中で少しだけ反省します。でも、それを忘れて現実逃避をするためにまたパソコンの電源を入れて、慣れた手つきでソフトを立ち上げて、オンラインに飛び込みます。両親とも仕事が忙しかったので、早くから家を出ており、ほとんど会話はありませんでした。

青山高校の僕の住んでいる寮では、起床の時間になると音楽がかかって、それが合図で目が覚めます。そこから点呼があって、朝の掃除や準備があります。朝の点呼で起きてこないと、部屋の先輩や友達に迷惑がかかるし恥ずかしいので起きようと思います。最近では、「もう少し寝たい・暖かい布団にもぐっていたい」という弱い心に勝てるようになってきました。

それよりも、中学との1番の違いは「学校に行く意味がある」ことだと思います。大学に行くために勉強をしなきゃと思いますし、部活では次の大会に向けて練習もあります。当たり前のことだけど、中学の僕にはそれがありませんでした。行く意味があるので、自分から起きようと思います。

 

「先輩が起こしてくれるから」(高校1年生女子)

中学校の時に「起立性調節障害」と診断されて、そこからはお昼に起きるという生活をしていました。私の場合はひどくて、親が起こしに来ても気づかなかったり、親に「わかった起きる」と言うのですがすぐ寝るそうです(記憶が無い)。「スッキリ目覚める方法」などをネットで検索して、ストレッチとか食べるものとかを自分なりに工夫してみましたが全然ダメでした。

寮生活をすることになって一番心配だったのは「どんな先輩や同級生がいるのか?」ということでした。「怖い先輩だったらどうしよう」とか「友達できるかな」とかをグルグル考えていました。でも、寮に入ってみると全く逆でした。周りの人はとても優しくて、あまり気を使わなくても良くてラクでした。同じ部屋の先輩が、同じ趣味(アニメ)のことで話が合ったのでそれもよかったのかもしれません。

朝起きられるようになったのは、その先輩のおかげです。入学して毎日のように「おはよう!朝だよ!起きようね。」と声を掛けてくれました。登校時間ギリギリまで、私を起こしてくれたこともありました。「どうしてそんなに優しくしてくれるんですか?」と先輩に尋ねたら「私も先輩に起こしてもらっていたから。そのおかげで今の私がいるから。」と答えてくれました。

先月、その先輩も大学受験のために退寮されました。私は今では自分で起きることができています。本当に感謝しています。2年生になったら、私が後輩を起こしたいと思います。

 

 

 

 

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