【体験記】先輩のおかげでスイッチが入った

勉強が苦手だった私は、授業中に先生に当てられるのがイヤでした。答えがわからなくて、後ろからクスクスと笑う声が聞こえてくるのが耐えられませんでした。友達もいましたし、部活も楽しかったので「授業だけ耐えたら」という思いで毎日学校に通っていました。

中学2年の夏休みが終わり、2学期が始まるその日「授業がまたはじまるのか〜、イヤだな〜」と思って1日サボってしまいました。するとそこから学校に行くこと自体が怖くなってしまい、結局卒業式まで1日も行くことができませんでした。

母からは「何があったの?どうして行けないの?」と聞かれましたが、私はうつむいて何も答えることができませんでした。「病院に行こうか?」と声をかけられることもありましたが、うつむいて無言で拒否をしていました。学校の先生が家に来てくれることもありましたが、同じように無言をつらぬいていました。先生は楽しそうに学校の話をしてくれるのですが、それがイヤでイヤでたまらなかったです。心の中では「早く帰ってくれ」と何度も何度も何度もつぶやいていました。

母が仕事に行って、家に1人でいる時間が天国でした。好きな時間にゲームしてテレビを見て動画を見ることができました。このままこの時間が続けばいいと思っていました。

中学3年になって、状況が変わりました。

先生と母の口から「高校」という言葉が何度も出てくるようになりました。このままひきこもり生活で良いと思っていた私は、あせりだしました。「こんな自分でも行ける高校あるのだろうか?」「勉強全然してこなかった」「友達ができるのか?」と毎日悩んでいました。

すると、母がある日「不登校の子を伸ばしてくれる学校があるから学校見学に行こう!見学だけでもしよう!」と私を無理やり車に乗せてオープンキャンパスに連れて行きました。正直、イヤイヤついて行ったのは覚えています。でも、その学校について案内をしてくれた先輩が「僕も不登校だったけど、今は、学校行事の実行委員とかサッカー部とか楽しいよ。勉強遅れていても英検とれたから大丈夫。」と明るく話してくれたことで、僕の中でスイッチが入りました。

その日から、無言だった僕は変わって行きました。お母さんと高校の話をするようになったり、ネットで調べるようになりました。そして、気がつけば高校生になっていました。

あの日、無理やりでも母が学校見学に連れて行ってくれなければ、今の僕はいなかったと思います。そんな僕も高校3年生になりました。今、大学受験に向けて勉強に励んでいます。

(高校3年生男子)

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