「厳しい父が」(中学3年から不登校を経験、男子)

わたしの不登校の理由は2つあると思っています。一つは、転校先の中学校で馴染めなかったことです。父の転勤が理由で、県外の中学校に転校することになりました。中学校3年生にもなると、すでにクラスの人間関係は出来上がっておりそこに突然現れたわたしは、自分がとても異質なものだと感じました。

もともと、人見知りだったので新しい学校でも自分から声をかけていくこともなく、いつも一人でいることが多くありました。そんなことを厳しい父に相談できず、父からは「もっと勉強しろ」「良い高校に行くんだ」と毎日のように言われ続けました。これが2つ目の理由です。

この2つのストレスで疲れてしまったということが、今思えば本当の理由だと考えています。ある日ふと「休みたい」と思って、休んだことがきっかけで1日も行くことができなくなりました。

休んでいる間は、勉強も手につかず、何もしたくありませんでした。将来のことを考えることも学校のことを考えることも拒否していたと思います。毎日寝てすごしていました。辛かったのは母の涙です。わたしが休んでいることで父に責められて泣いている姿を何度も見ました。そして、高校だけは絶対に行くことを心に誓っていました。

2学期からは、別室登校で欠席日数を稼ぎながら勉強を独学でしていました。そして、高校には進学することができました。

ですが、高校最初の中間テストを緊張しすぎて受けることができませんでした。もし悪い点を取って父に厳しく怒られたらどうしようという気持ちがどんどん大きくなって、勉強に全く手がつけられなくなったのです。そして、また学校に行くことができなくなりました。

そんなわたしを父は厳しく叱責しました。今までのわたしならそのまま黙ってしまって泣いているだけでした。その時は、なぜか怒りがこみ上げてきて、父に大声で反論をしました

「わたしは、あなたに認めてもらいたいから頑張って高校に進学し、あなたに褒めてもらいたいから、テストで良い点を取ろうとしていたのに、なのにあなたは小さい頃からわたしを叱ることしかしてこなかった。こうなったのは、あなたの責任だ!」と。

この言葉を聞いて父の叱責はさらに大きく厳しくなりましたが、わたしは負けずに主張を続けました。

すると、父が黙ってしまい泣き始めました。泣きながら「すまん、すまんかった、、、」と何度も謝るのです。今まで見たことのない父の姿を見て、とてもショックでした。厳しくて高圧的だった父が泣いているのです。同時に、わたしの中で何かが変わった気がしました。世界がひっくり返ったような気がしたのです。

そこからは、あっという間に話が進みました。全寮制の転校先を見つけて見学に行き、転校が決まりました。気がつけば転校して1年間が過ぎました。今では、父とは普通に会話できるようになりましたし、冬休みにはサッカーの観戦に一緒に出かけました。あの時の父の謝罪がなければ、今のわたしは無かったと思います。そして、不登校で休んでいたわたしのために毎日のようにご飯を作ってくれた母にも感謝しています。

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