【体験記】お母さんの笑顔

私は、小学校6年生くらいから少しずつ遅刻したり休むようになってきました。特に学校で何かあったというわけではありません。すごく疲れるようになったということを覚えています。小学校は楽しかったので、なるべく行くようにはしていました。

中学校になって、ちょうどコロナの休校がありました。休校が終わってしばらくしてから、すぐに期末テストがありました。その期末テストを受けたくないという気持ちや、新しい生活の緊張から、毎日辛い思いをしていました。それでも学校には行っていました。

 ある日突然「今日は休もう」と心に決めました。

そこから数日休んで、期末テストの日に学校に行こうとした時に、急に怖くなりました。「全然勉強していないのに大丈夫だろうか?」「悪い点数をとってしまったらどうしよう・・・」と。部屋の中で涙が止まらなくなり、その日も休んでしまいました。そこからは中学卒業までほとんど授業には出ていません。

休んでいる時は、昼まで寝ていたり、ずっとスマホを触っていました。たまに学校の先生が家庭訪問にきてくれましたが、あったことはありませんでした。家から出るのも怖くて、もし知り合いにあってしまったらどうしようと考えていました。

お母さんには、「なぜ行けないの?」「嫌なことあったの?」と聞かれましたが、答えることはできませんでした。当時は、何がイヤかさえもわかっていなかったと思います。そんな私を見て、週に1回程度、外出に連れ出してくれました。気分転換になりましたし、お母さんと話ができることが嬉しかったです。

中学2年生になってから、「放課後登校をしてみないか」と言われました。

さすがにこの生活を続けることはまずいと思っていたので、登校することにしてみました。ですが、自分の想像以上に怖かったです。誰か知り合いに会わないかビクビクしながら、生徒玄関から入り、保健室に向かいました。保健室に、担任の先生が来てくれて少しお話をしました。「あなたが来たい時に来ていいよ」と言われて、すこしホッとしました。そして、すごく疲れて家に帰った時、お母さんが玄関の前で待っていてくれました。

 お母さんは「すごい!よく行けたね、エライ!!」と笑顔で褒めてくれました。

とても嬉しかったです。今でもその時のお母さんの笑顔は覚えています。その一言で少し自信がついた私は、それから放課後登校や別室登校ができるようになってきました。中学3年生の時には修学旅行に参加しました。

進路を決める時期になって、いくつか高校を見学しましたが、私が決めたのが全寮制の高校でした。通信制も見に行きましたが、あまり良い印象ではありませんでした。家で何もしない私が課題やスクーリングに行けるとは思えず、こんな自分を成長させるには親元を離れるべきではないかと思うようになりました。中学3年生の秋に全寮制高校を見学し、自分でその高校に進学することを決めました。

今、私は高校2年生になりました。寮生活にも慣れて友達もできました。学校行事の実行委員に挑戦したり、部活で夜遅くまで準備や練習をしています。中学校の時にできなかった経験を通じて、だんだんと自分をコントロールする方法もわかってきました。辛いこともありますが、それから逃げなくなりました。あの時、私の頑張りを褒めてくれたお母さんのおかげだと思っています。(高校2年生女子)

 

 

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